緑のくすり箱:枇杷

枇杷

冬に白い花が咲き、初夏の頃に甘い実をつけます。真冬でも葉は落ちない常緑樹です。
寒い中、小さな花をたくさんつける姿を見ると生命力の高さを感じます。

枇杷と聞くと黄色い果物を思い浮かべる事が多いと思いますが、実は枇杷は実だけではなく、葉っぱも樹皮も種も余すところがないほどに万能な植物です。

古代インドの仏教経典『涅槃経』には「ビワの葉、枝、茎、根にはとても大変な薬効があり、どんな病い苦みも癒す」と記されています。また、枇杷の木のことを「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」、枇杷の葉のことを「無憂扇(むゆうせん)」と記載されています。つまり、枇杷の木は最高の薬木であり、枇杷の葉は、病気を治して憂いを無くすというのです。

お釈迦様も病気で苦しむ人々に枇杷を使ってお手当てをしていたと伝えられています。

中国では「枇杷葉(びわよう)」と呼ばれ、生薬として使われてきました。
漢方の本である『本草綱目』には、「枇杷葉は胃腸の毒素を流したり、呼吸器の炎症を鎮める、顔のおできを治す、足の痺れや痛みを取り除くなどの薬効がある」と記載されています。

日本には仏教の伝来と共に枇杷を使用した療法が入ってきたとされています。

日本では、枇杷の木を「医者いらず」と呼んだり、一方で「枇杷を植えると病人が出る」という迷信もあります。
後者は、家に枇杷の木があると、その枇杷を求めて病人がやってくるようになる、ということから言われているそうです。

兎にも角にも、枇杷は古くから人々の苦しみを取り除いてくれる植物として身近なものだったのですね。

私も枇杷にはお世話になっています。
何がきっかけだったかと言うと、湿疹が出た時に枇杷の葉エキスをつけたら痒みや熱感がすーっとひいたことです。
そこから枇杷の葉がもつ数々の素晴らしい作用について惹きつけられていきました。

難病で苦しむ方々の苦痛が緩和され、症状も劇的に回復することも多く報告されている枇杷。
実をそのまま果物として食べたり、果実酒やジュースにするだけではもったいないですね。

今回は、気軽に始められる枇杷の活用法についてご紹介します。

枇杷の葉を使用する際には若葉ではなく、数年経過した色の濃い葉を使用します。
一番シンプルで長い歴史の中で使われてきたのは、枇杷の葉をあぶって患部に当てるものです。

2枚の枇杷葉の光沢がある面を焦がさないようにあぶり、2枚の葉を擦り合わせて熱が冷めないうちに痛みがある場所へのせるというものです。このシンプルなお手当で様々な不調が改善されているそうです。

また、枇杷葉を乾燥させた枇杷茶は手に入りやすく、初めての方でも気軽に始められますね。
飲むだけではなく、ぜひお茶として使った葉っぱの部分捨てずにお風呂に入れてみてください。汗疹や湿疹などある方は、その部分にパッティングしてみると痒みが緩和されるかもしれませんよ。

その他にも色々な使用法があります。

枇杷の葉エキス

①枇杷葉をよく洗い汚れを落とし、水気を拭き取る。
②ハサミなどで細かく刻んで、清潔な保存瓶に入れる。
③アルコール度数の高い焼酎やホワイトリカーなどを葉が浸るまで注ぐ。枇杷葉150グラムにたいして、アルコール1.8リットルくらいの分量
④蓋を閉めて、冷暗所で半年から1年ほど置く。
⑤茶色く枇杷の葉のエキスがアルコールに抽出されたら、濾す。数ヶ月おく

※痛みや炎症の緩和、外傷や火傷、虫刺され、吹き出物などに効果的と言われています。乳幼児には刺激が強いため、煎じ液がオススメです。

<使用法>
・2〜3倍くらいに水で薄めてガーゼなどに含ませて患部に貼る
・お風呂に入れる (汗疹や湿疹など)
・水で希釈してスプレーボトルに入れる (湿疹など肌トラブル)

枇杷葉煎じ液

①枇杷葉をよく洗い汚れを落とす。
②ハサミなどで細く刻む
③②と水を鍋ややかんに入れて、褐色になるまで煎じる。

※ 胃腸虚弱、アトピー性皮膚炎など皮膚の痒み、肌荒れ、疲労回復、喘息などの緩和が期待されます。

<使用法>
・飲用したり、肌につける
・煮出した液体と葉を入浴剤としてお風呂にいれる

実を楽しんだ後には、種を植えてみると発芽するかもしれません。我が家には種から発芽してぐんぐん成長中の枇杷の木があります。

Sahoko Matsuo 
日本の風土に添ったアーユルヴェーダとヨガ
自己の内外の自然に気付き繋がるナビゲーター
個人の特性に光をあてるアーユルヴェーダライフコーチ
E-RYT500/福祉マネジメント修士/社会福祉士
Sahoko

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